Bluetooth規格の推進団体であるBluetooth SIGが新規格「Bluetooth LE Audio」を発表しました。
この新しい「Bluetooth LE Audio」という規格は、主に二つの進化で注目を浴びています。
今回はこの新企画について解説しましょう。
Bluetooth LE Audioの特徴
AirPodsなどのワイヤレスヘッドフォンだけでなく、スピーカーやテレビ、電球に至るまで様々な製品がBluetoothを介して私たちのスマホに接続できるようになりました。
接続の安定性や速度など様々な点が、Bluetooth SIGによって日々改善されていますが、今回発表された「Bluetooth LE Audio」には特筆すべき進歩が二つありました。
省エネ化と、マルチキャスト/ブロードキャストへの対応です。
Bluetoothはさらに省エネに
まず、一つ目の省エネ化ですが、これは新規格の名前に「LE(Low Energy – 低消費電力)」と採用されるほど重要な進歩です。
現時点でも、Bluetoothによる消費電力は小さいと言われていますが、それがますます小さくなりました。
特に、この恩恵はワイヤレスヘッドフォンやスピーカーなどのオーディオ再生デバイスに対してあるようです。
具体的には、新しい音声コーデックのLC3を採用することで、無駄な部分のデータ通信をカットし、低消費電力でありながら、従来と変わらない音質を提供できるようになりました。
この新しい規格に対応すれば最大で再生時間は約2倍にまで伸びると説明されています。
そして最も大きな進化が、マルチキャストとブロードキャストへの対応です。
複数台に同時接続(マルチキャスト)
従来のBluetoothデバイスはユニキャスト、つまり一対一の通信にのみ対応していました。
そのため、iPhoneから流している音楽を再生できるワイヤレスヘッドフォンは普通一つだけでした。
しかし、「マルチキャスト対応」により、複数のデバイスで音を同時にシェアすることができるようになったのです。
たとえば、友達とiPadで映画を見る時も、これまではiPadのスピーカーを使うか、イヤホンを片方ずつシェアするしかありませんでしたが、これからは一台のiPadから別々のワイヤレスヘッドフォンへ音を流せるようになります。
これはAirPodsの普及など、時代の流れに対応した変化と言えるでしょう。
ブロードキャストに対応
では、もう一つの「ブロードキャスト対応」はどのような恩恵があるのでしょうか。
やはり、簡単に思いつく実用的な使い方は空港や大きい会議において、多国語が入り乱れるような状況でしょうか。
例えば、空港にいる間、日本語の音声にチャンネルを合わせることで、必要な情報を日本語で聴くことができるようになるかもしれません。
同じように、将来的にはオリンピック会場や海外の観光施設でも、様々な言語が同時にブロードキャストされ、必要な言語の放送にAirPodsを合わせることで言葉の壁を乗り越えることができるかもしれません。
あるいは、どこかの交差点にあるビッグスクリーンを観ながら、音は手元のAirPodsで拾う時代もすぐそこかもしれません。
また、補聴器向けの機能も用意されており補聴器が必要なユーザーでも、他の人と同じように通話や音楽鑑賞を楽しむことができると期待されています。