今世界で最も注目を集めている仮想通貨「ビットコイン」、こういったものに興味がない人でも度々ニュースで取り上げられるので、その名称くらいは聞いた事があるのではないでしょうか?
急激な価値の上昇で各所で話題になっているこのビットコイン、なんととあるビットコイン採掘会社がハッカーによる攻撃でおよそ6,400万ドル(約72億円)分も盗まれてしまったと発表しました。
マイニングサービスからハッキング
仮想通貨であるビットコインはP2P(Peer to Peer)を利用した、「ブロックチェーン」と呼ばれる1つの情報をネットワークに接続された全ての機器で同期する機能により、仮想通貨の安全性を保っています。
この1つの情報というのは「誰が誰にビットコインを送金したか」というもので、世界中で行われるこの取引内容を10分毎に1つのデータにし、どんどん過去のデータと繋げて世界中の端末で同じ情報を保ち続けることで、実質ハッキングによる不正入手などを不可能にしている仕組み。
しかし今回、NiceHashという仮想通貨採掘企業が6,400万ドル(約72億円)分ものビットコインをハッキングで盗まれたと発表しました。
この会社の主なサービスは、マイニング(仮想通貨採掘)するためにPCなどの処理能力を借りたい人と、PCのマシンパワーを貸し出して報酬をもらいたい人を繋げるサービスで、この会社自体がマイニングを行なっているワケではありません。
ではまずマイニングをしていないこの会社からなぜ多額のビットコインが盗み出されたのか、という話なのですが、このサービスを利用するにあたって処理能力を借りたい人は元手となるビットコインをこの会社に預ける必要があり、またマシンパワーを貸し出す人への報酬であるビットコインを保管していたため、これらのビットコインが盗み出されたというワケです。
今回の件の1番の問題点は「盗まれたビットコインが自社のものだけではない」点で、この会社のサービスを信頼し利用していたユーザのビットコインが大量に盗まれた事。
「ビットコインをマイニングして儲けよう」「持て余しているPCパワーを使って小遣い稼ぎしよう」と思っていたユーザは、ある日突然自分のビットコインウォレットの残高が0になっていて、驚愕する事になったのです…。
またハッキングの件については冒頭で述べた「ブロックチェーン」をハッキングしたのではなく、NiceHashがビットコインを保管していたPCがハッキングされ、ビットコイン送金に必要な情報を盗まれ、保管していたビットコインを全て正式な手続きである送金によって運び出されていたとの事。
ビットコインがいかに強固なシステムで正確性が保証されていても、保管している側の管理に穴があれば簡単に盗み出されてしまうワケですね。
「ブロックチェーン」の仕組み上この送金をなかった事にしたり、あるいは不正利用という事で強制的に取り返したりする事はできないそうで、送金先が分かっているにも関わらず盗み出されたビットコインを取り返す事ができない、という地獄のような状態をNiceHashは味わっているようです…。
まとめ
今回の件をひとえにNiceHashの情報管理の問題であり、ビットコインの正確性や価値を脅かすものではないのですが、マイニングや取引を行なっている人には他人事とは思えない衝撃的な事件になったかと思います。
異常とも思える価値高騰を続けるビットコインに興味を持つユーザの方も少なからずいるとは思いますが、手を出す場合はそれなりの覚悟が必要そうですね…。