泥沼化して久しいAppleとそのサプライヤーであるQualcommの抗争、お互いにロイヤリティやリベートを中止し合い、さらにお互いに訴えている状態になっています。
以前Qualcommはアメリカの米国国際貿易委員会(ITC)に「iPhoneの輸入禁止(実質販売禁止)」を訴えていたのですが、今回はなんと中国でも新たな訴えを起こしているようです。
ベテラン弁護士退社を狙った?
以前より何度かお伝えしているAppleとQualcommの泥沼のやりとり、またもや拡大し今度は中国で「QualcommがiPhoneの販売中止と製造中止を訴える」事態となりました。
わからない人も多いかと思いますので、ざっくり事の経緯を見てみましょう。
AppleとQualcommの抗争の経緯はざっくり以下の通りです。
- 韓国公正取引委員会がQualcommに独占禁止法違反として制裁を計画
- QualcommはAppleが裏で糸を引いていると憶測
- QualcommがAppleへのリベート支払いを拒否
- Appleは支払われなかったリベートについて賠償金請求
- 問題長期化を受けてAppleがQualcommへのロイヤリティ支払い中止
- QualcommがITCにiPhoneのアメリカ輸入禁止等を訴える
- ITCがAppleへの調査を開始
- Qualcommが中国でiPhoneの販売・製造禁止を訴える
様々なメディアで言われていますが、そもそも「Qualcommの根拠のない主張」からこの一連の騒動を起こしており、Apple的には単純に大迷惑状態。
Apple側は以前から「Qualcommとは公正な取引を行う準備がある」と声明を発表しており、Qualcommが公正な取引に応じるのであればロイヤリティの支払いなどにも応じる姿勢を見せているのですが、ここにきて別の国で新たな訴訟を起こしたQualcommにその気はないようです。
というのも、先日Appleは8年間訴訟問題などに対応してくれていたベテラン弁護士、ブルース・スウェル氏が今年いっぱいで退職することを発表しており、邪推ですがココにつけ込んだ可能性が…。
ちなみにQualcommは10月11日付で、台湾の公平交易委員会に独占禁止法違反で234億台湾ドル(約870億円)課徴金支払い請求を発表されており、そもそもQualcommが独占禁止法違反に抵触するような事をしているのが見て取れます。
Qualcommは韓国の件に加えて台湾での件も、「Appleが裏で糸を引いている」なんて言うんですかね?
まとめ
Qualcommは「ダブルディップ」と呼ばれる、いわゆる「特許使用料の二重請求」のような事も行なっており、各国の公正取引委員会のような機関に制裁されても文句の言えない立場です。
Appleの言う「Qualcommとは公正な取引を行う準備がある」とは「ダブルディップ」是正を言い含めたものなんですが、Qualcommはどうしても「ダブルディップ」による利益を諦めきれないんでしょうね。