今年2月から始まった東芝の巨額損失事件、東芝は生き残りをかけて主力事業であるチップ事業を切り離し、子会社として売りに出す形を取りました。
それからAppleやGoogle、Amazonなどが名乗りを上げ半年以上収拾がつかない状態だったのですが、ついに目処がついたようです。
条件がすごい
世界で2位のシェアを誇る東芝のチップ事業、PCやスマホに使用されるNANDメモリーの事業だけに、切り離して売り出すという話が出たときは世界中で話題になりました。
特にスマホ業界ではサムスンがチップ事業において独占状態であり、仮にサムスンが東芝メモリを買収すればほぼ完全な市場独占ができるほどの可能性を秘めた重大案件です。
そこで各国の関連企業が動き同社買収に努めましたが、東芝の条件になかなか見合うものがなく半年以上も停滞している状態に。
結局今月初めに日米韓8つのグループが協力した「Pangea」という組織で共同出資する方向を固め、Appleはこのグループの1つであるBain Capitalを通じて出資する事に同意しました。
しかし8つのグループが共同で出資をする、というのは簡単な話ではなく、東芝が発表したPDFを見る限りなかなか面倒な状態の模様。
ややこしいので簡略化しますが、「通常株式の50%は日本企業のもの」「アメリカの出資企業に通常株式と議決権は無し(え?)」「ライバル企業のSK hynixは出資者だけど情報はあげない(は?)」といった、通常の企業買収ではありえない条件が書かれています。
アメリカ企業やSK hynix的には「何の為に出資したと思ってんだ…」って感じでしょうが、他のライバル企業にまるっと買収されるよりはマシ、と判断したんでしょうね。
出資総額は2兆円、まだ売却自体は完了していませんが、独占禁止法や証券取引法などの問題がクリアできればこのまま手続きが進むものと思われます。
まとめ
かなり東芝側と日本側に有利な条件での発表となり、例えばAppleが東芝メモリを利用したNANDメモリー供給を実施してiPhoneが値下がり、といった話は出てこなさそうです。
日本からの人材や技術力の流出をある程度抑えての取引となりそうですが、その条件の効力も10年しか無いそうなので、ぜひ東芝には10年で立て直してもらいたいところ。