ごきげんよう、菊太郎です。
Appleは長らく中国を重視する方針をとってきましたが、ここに来てインド重視の方針に切り替えようとしているようです。
共に世界最大級の人口を抱え経済発展も著しく、憲法に社会主義が明記されているなど何かと類似点の多い中国とインドですが、なぜAppleは中国からインドにシフトしようとしているのでしょうか?
そこで今回は「Appleが中国重視を見直した理由」と「次のターゲットをインドに選んだ理由」を分かりやすく解説していきます!
Appleはインドに力を入れはじめた?
Appleがインドに力を入れ始めた…と言われてもあまりピンときませんが、実はiPhone 6のCMに使われていたり(下記動画は実際のCM)、
2016年の末までに計6店舗のApple Storeを作ると発表したり、さらには今年1月に行われた業務発表で、ティム・クックCEOが「これからAppleは、インドへ力を入れていく」と発言していたりなど、Appleがインドを重要視していることが伺えます。
しかし今までAppleはあれだけ中国に力を入れていたのに、なぜそれを見直す事になったのでしょうか?
中国重視を見直した理由
以前かみあぷでもご紹介したとおり、ここ数年のAppleはずっと中国びいきでした。
中国でのApple Storeの店舗数を増やしたり、Apple Watch第一次販売国に中国を加えたり、Appleイベントのデモンストレーションに中国で人気のアプリを使ったりなど、あからさまに中国を引き立てていましたよね。
中国バブルの影響もあり、世界一の人口を誇る中国では富裕層も着実に増加。iPhoneユーザーの数もうなぎ登りで、中国はAppleにとって大のお得意様になっていました。
ですが去年の後半ごろからその状況は一変。今まで順調に伸びていた中国におけるiPhoneの売り上げが頭打ちになってしまったのです。その原因は大きく分けて2つ。
1つは、中国経済が減速傾向にある点。
今までは中国バブルと言われるほど好景気にわいていた中国ですが、相次ぐ人件費の高騰や人民元の上昇(元高)で輸出力が低下してしまい、ずっと良好だった成長率も足踏み状態。
そのため中国人のiPhoneの購入意欲にストップがかかり、以前に比べると中国でのiPhoneの売れ行きが落ち込んでしまいました。
そしてもう1つの理由は、iPhoneがある程度中国人に行き渡ってしまった点。
中国は人口が多くAppleのブランド力が高かったこともあり、日本に買い出しに来る転売屋が後を絶たないほどiPhoneの高い需要が続いていました。
ですが今や中国における携帯電話の9割がスマホで、世界に存在しているスマホの3分の1は中国になってしまうほど中国におけるスマホ市場が成熟。
しかも小米科技(シャオミ)、華為技術(ファーウェイ)などの有力メーカーが次々と台頭してきてしまったため、非常に競争が厳しい市場になってしまいました。
そのため「中国では黙っていてもiPhoneが売れる」という状況はあっけなく終了。方向転換を迫られたAppleはターゲットを中国からインドへシフトする事となった…というわけなんです。
インド重視に切り替えた理由
世界で一番人口が多い国は中国の13億人ですが、インドはそれに次ぐ第2位の12億人。第3位のアメリカが3億人なのを考えると、どれだけ中国とインドの人口が多いかが分かりますよね。
中国ではスマホがある程度行き渡った感があるものの、インドではまだまだガラケー優勢でスマホの所有率は低いまま。
しかもiPhoneのシェアは1%未満なので、インドではiPhoneが売れる伸びしろがたっぷりあります。
なぜiPhoneのシェアがインドで低いのかと言えば、インドでは国内の産業を保護するため海外で生産された製品には高額な税金がかけられているから。
ただでさえ高級なiPhoneなのにさらに高い税金がプラスされていたので、どう頑張っても庶民では買うことができない高嶺の花になっていました。
しかしインドの経済成長に伴い、ちょっと頑張ればiPhoneを購入できる層が着実に増加。そのためAppleは型落ちのiPhone 5sを半額で販売するなど「市場拡大を目指す対策」を取りはじめることに。
噂されている4インチの廉価版iPhone(通称:iPhone 5se)もインド市場をにらんで販売される事になった可能性も否定できません。
経済成長がある程度落ち着いて来た中国と違いインド経済はまだまだ発展途上で、今後伸びていく可能性が十二分にある状態。
2017年までにアメリカ、中国に次ぐ世界第3位のスマホ市場になるとも言われており、Appleをはじめ韓国のサムスン電子やGoogleもインドに注目しているそうですよ。
3月15日に開催されると噂されているiPhone 5seの発表会では、あからさまなインド贔屓が見られる…かもしれませんねw