あと1〜2ヶ月ほどでリリースが予定されているiOS 14、開発者やレビュー参加者の間ではすでにiPhone実機での使用ができるようになっており、多くの情報がメディアで報じられていますね。
そんなiOS 14にはなんと4Kビデオ再生への対応が確認されているのですが、果たしてiPhoneのような小さな端末で4Kビデオを再生するメリットはあるのでしょうか?
現在のiPhoneではほぼ無意味?
おそらく今年の9月〜10月に発売となるiPhone 12シリーズ、それと同時期にリリースされるiOS 14は現在多くの人々の関心を集めており、すでに公式公開されている新機能の使い心地や、公式に発表されていない新機能の情報などが日々出回っていますね。
その中の情報の1つに最近、一部のデバイスで4Kビデオ再生に対応する事が判明しました。
現在iPhoneはFHD動画再生に対応しており、その再生画面サイズは1920x1080pxとなっているので、iPhone 6以降の機種でPlusやMaxではない機種とiPhone SE/XR/11/SE 2020以外はFHD動画を綺麗に楽しむ事ができます。
4KはFHDを単純に倍にしたサイズになるので、その再生画面サイズは3840x2160pxとなり、一般的に考えればHDよりもかなり精細で綺麗な動画を楽しめるようになるのですが、果たしてiPhoneで4Kを再生できるメリットはあるのでしょうか?
エルゴデザイン研究所の窪田 悟の「画素密度は果たしてどこまで必要か?」という研究によると、スマホは概ね20〜30cmほどの距離感で見られる事が多く、TV視聴距離と比較した場合およそ1/10の距離感となり、「4型のスマホ画面の画角は,家庭の40型のテレビの画角に匹敵する」と結論づけられています。
32型がFHDですから、スマホのサイズ感でHD動画を再生して楽しむ事は理にかなっているというワケですが、ではその単純倍になる4Kの事を考えると、4K=85型TV=8.5インチスマホが必要になります。
例えば最新のiPhone 11 Pro Maxが6.5インチの2688x1242pxですから、そもそもHDを少し大きくした程度で4Kの再生基準を満たしておらず、例えシステム上で4Kに対応した所で3840x2160pxサイズの動画を、再生領域の関係で2208x1242pxにソフトウェア変更して再生する事になります。
無理に4Kに対応したところでHDがほんの少し大きくなった程度にしかならず、また再生領域の関係で2208x1242pxに圧縮する事でHD再生よりも画像がぼんやりする可能性もあり、既存のiPhoneでは再生する意味がほとんど無いと断言できるでしょう。
仮にiPhone 12 Pro Maxの画面サイズが極端に大型化するか、同じサイズでppi(1インチの正方形に何ピクセル配置できるか)を現在の458ppiから682ppi以上まで引き上げねばならず、実現できたとしても信じられない高額なiPhoneになるでしょう。
そもそもiPhoneの実サイズで再生されたFHD動画は肉眼ではかなり綺麗に見えており、よほど近づけて注視しない限りドットジャギーを認識する事ができないので、無理に4Kをスマホサイズに求める事もないと言えます。
また動画容量についても、FHDで1時間およそ11GBなのに対し4Kだとおよそ24GBにも膨れ上がるので、これをストリーミング再生するのは5Gの事を考慮しても通信費の無駄やダウンロード時間の無駄になりかねません。
この4K対応は機種ごとにより異なるそうですが、現状開放が確認されているのはiPhone 11 Pro Maxおよび2020に発売されたiPad Proだそうです。
まとめ
上記の通りそもそも画面サイズが4K再生の基準を満たしていませんから、画面サイズが3840x2160pxにかなり近く無いと宝の持ち腐れ、というか通信費や通信時間の無駄になってしまうでしょう。
5Gに対応したiPhone 12についても画面サイズが大型化するといった情報などは無いですから、iPadで4K再生に対応するついでの対応なのかも知れませんね。