なくならないインターネットを利用した詐欺事件、特に最近はスマホの普及もあって年々被害が拡大しているそうで、詐欺手法の多様化もあって日夜各国の警察機関はこれらの詐欺に引っかからないよう警鐘を鳴らしています。
これらの詐欺では実に多くの手法で現金や電子マネーなどが騙し取られているのですが、この内の1つにiTunesギフトカードが兼ねてから挙げられているのですが、なんとiTunesギフトカードを使用した詐欺はAppleも悪いと集団訴訟に発展したようです。
Appleは黙認して利益を獲得???
先日、世界中で展開されているインターネット詐欺の取引手段にiTunesギフトカードが使用されている件で、iTunesギフトカード詐欺に遭ったとされる被害者集団が「iTunesギフトカード詐欺はAppleも悪い」として、集団訴訟を起こした事が明らかとなりました。
訴訟内容は後述しますが、この訴えはそれぞれの単語を別の詐欺手法に置き換えるといかに横暴であるのかわかり、例えば「振り込め詐欺は銀行も悪い」「クレジット詐欺はクレジット会社も悪い」といったように、あたかも運営元が詐欺に加担しているような言い方です。
彼らがAppleを訴えている内容はざっくり下記の通りです。
- Appleは詐欺に使われたギフトを確認できる
- Appleはギフトを使用したアカウントを特定できる
- Appleはギフトで購入されたモノと販売者を特定できる
- 被害者から報告された時点でAppleはギフトを無効化すべき
- Appleは詐欺加害者から30%の利益を得ている
- つまりAppleは事実上詐欺を黙認している
- Appleは消費者法・販売法・広告法に違反している
- Appleは意図的に詐欺を幇助していると認めろ
- Appleは高齢者虐待法に違反している
- Appleは障害者虐待防止法に違反している
- 少なくとも「30%の利益」は返還すべき
42ページにも及ぶ内容なので長くなってしまいましたが、今回の訴訟を起こしたiTunesギフトカード詐欺被害者を名乗る彼らの訴えは概ねこのような内容で、「Appleは詐欺師を特定できるのに黙認して利益を獲得し、多くの法律に違反しており、その利益を返還すべきだ」というワケですね。
上記内容を見て分かる通り、これらを訴えているのが概ね高齢者や障害者である事が推測でき、彼らは何らかの手法でiTunesギフトのコードを詐欺師に略取され、それを防止できないAppleに憤りを感じ、Apple IDで購入された際に発生する30%の利益を返還するべきだと、かなり横暴な物言いをしています。
そもそも多くのこういった詐欺は「今すぐ◯◯の支払いが必要だからiTunesギフトカードを買ってコードを教えて」というもので、詐欺に引っかかる人はそもそもiTunesギフトがApple関連商品しか購入できない事を知らず(裏面には書いてある)、詐欺である可能性を考えずに教えてしまっているパターンが多いです。
Appleは何年も前からこうした詐欺へ警鐘を鳴らし、公式の注意喚起ページなども公開しており、そもそも詐欺で略取されたコードを詐欺師が使っているパターンがかなり少ない(ほぼ転売などで現金化されている)ので、防ぎようも詐欺申告の真偽も確かめようがないでしょう。
インターネット詐欺が高齢者などのネット事情に疎い人が引っかかりやすいのは分かるのですが、自分の不注意や不始末を棚に上げてこのようにAppleを批判するのはお門違いと言わざるを得ないですね。
まとめ
もし仮にこの訴えがまかり通るような事があれば、Appleは元より有名無名を問わず世の中の全ての電子マネーや金券などは詐欺による被害補填をしなくてはならなくなり、そのシステム自体が破綻してしまう事も十分あり得るでしょう。
このようなとんでも訴訟にAppleが負けるとは思えないのですが、これがもしまかり通った場合は「詐欺は運営元も悪い」という凶悪な判例ができてしまうので、電子マネーどころか詐欺に利用されるすべてのものに大きな影響が出る可能性があります。