iOS14の新機能としてApp Clipが紹介されました。
App Clipとは「アプリをダウンロードしなくても一部の機能が使えるミニアプリ」とだけ知っておけば最低限問題なさそうですが、その説明だけでは納得できなかった人やもっと詳しく知りたい人のために、より詳しく解説をしていきます。
その仕組みを理解することで、App Clipの使い方や将来どのような場面で使えるようになるのかを正確にイメージできるようになるでしょう。
App Clipの仕組み
まずはApp Clipがどのような仕組みで実現しているのか簡単に見ていきましょう。使い方にだけ興味のある方は次の「App Clipの使い方」までスキップしてもらっても支障はありません。
App Clipの仕組みは端的に述べると「任意のアプリのメタデータから、Invocation URLを使うことでApp Clipカードを表示させ、そこからdeep linkで特定の機能を呼び出すことができるようになる」仕組みです。
図示すると上のようなものになりますが、詳しく見ていきましょう。まずInvocation URLというのはApp Clipカードを表示させるための機能です。一方、Deep Linkと言うのはアプリの一部の機能を表示させるための機能です。
そして、App Clipカードというのはアプリの要約を紹介する小さなカードです。これを見て消費者はそのアプリを試してみるのか判断します。
ちなみに、このApp Clipを表示させるためのInvocation URLというのはユーザがマップアプリやNFCタグ、QRコードから取得できます。
その後ユーザーはApp Clipカードでアプリの簡単な説明をチェックします。もしも気になるアプリだった場合アプリを「開く」のようなボタンを押すことでDeep Linkを経由しアプリの一部を体験できるようになるのです。
つまり、App Clipというのはユーザーがアプリをフルでダウンロードしなくても、その機能を簡単に体験できるようにするための一連の流れや仕組みそのものを指すようです。いわば導線のようなものですね。
開発者向けの詳しい解説はこちらを参考にしてください。サンプルコードも提供されています。
App Clipの使い方
では、続いてApp Clipの使い方を見ていきますがその前に少しだけ、App ClipをAppleが作った目的を説明しましょう。
Appleは「App Clipは、ユーザーがそのアプリの提供しているものに素早くアクセスし、体験するための優れた方法です」と述べています。
大事なポイントは二つです。「素早く」と「体験する」です。
つまり、様々なアプリが溢れかえる現代において、ユーザーはわざわざアプリをダウンロードしなくてもその一部の機能を体験することができるようにしようというコンセプトです。
その体験を快適にするため「素早くお手軽に体験できる」ように用意されたのが「App Clip」なのです。
そのために、Appleは以下のような手順での使い方を提供します。
手順1. App Clipカードへアクセス
まず、ユーザーは体験したいアプリがあればApp Clipカードと呼ばれるものにアクセスします。
これはウェブサイトへアクセスするようにURLを使ってアクセスすることができます。
おそらく店頭では、QRコードやNFCカードが設置され、それを読み取ることでApp Clipカードへアクセスできます。他にもMessagesやMapsからも直接アクセスできるようになる予定です。
そして、App Clipカードとはの下の図のような見た目になっています。
アプリのイメージである写真や、アプリ名、そして簡単な説明を含めた情報がApp Clipとして表示されるのです。
手順2. 実際に体験してみる
そして、「開く」のようなボタンを押すことで、そのアプリの「一部の機能」へアクセスすることができます。
例えば、レストランであれば予約機能や支払い機能など、それぞれのアプリの機能を一部体験できます。
このファイルの大きさは10MB以下という制限もあり、素早くアクセスできるように提供される予定です。
手順3. 必要ならインストール、不要なら終わり
最後はそのアプリが気に入れば、App Storeへの誘導も行ってくれます。
もちろん、不要ならばそのまま終了するだけで終わりです。インストールもアンインストールも必要ありません。
まとめ
結局、App Clipとは「App Clipの仕組み」の項目でも説明した通り、アプリの一部機能を体験するための導線のようなものです。
ユーザーがアプリの一部機能を「素早くお手軽に体験できる」ようにするための導線です。
例えば、初めて訪れたコーヒショップ店でのアプリをApp Clipで体験して便利だと思ったらインストールする、不要ならApp Clipだけで話が完結するという流れになります。
新しくインストールする手間も、アンインストールする手間も、iOS14からは解放されるかもしれませんね。