日本では以前からたびたび問題になっているガチャ課金。
最近はヨーロッパでも「ガチャはギャンブルではないか」という議論が進んでいるようですが…そんな中でAppleが、「ガチャ課金の確率表記」を義務化しました。
今後、ソーシャルゲームはどうなっていくのでしょうか?
Appleがガチャ課金の確率表記を義務化
Appleは、アプリを申請する際のルールを示した「App Store Review Guidelines(App Store審査ガイドライン)」を改訂、ガチャ課金の確率表記を義務化しました。
「3.1.1 アプリ内購入」の項目を見てみると(以下、意訳含む)、
- アプリケーションのコンテンツまたは機能(例:定期購読、ゲーム内通貨、ゲームレベル、プレミアムコンテンツへのアクセス、フルバージョンの利用)は、App内課金を使用して解放する必要があります。また、ユーザーがApp内課金で購入した通貨でデジタルコンテンツプロバイダにアプリケーション内で「チップ」を払うようにすることもできます。App内課金以外の方法で、ユーザーを何らかの購入に誘導するボタン、外部リンク、その他の機能をアプリケーションやメタデータに含めることはできません。
- App内課金で購入されたクレジットやゲーム内通貨に有効期限を設定することはできません。また、返還可能なApp内課金を導入する場合は返還のメカニズムを実装する必要があります。
- 適切な課金タイプを割り当てていない場合、アプリケーションは却下されます。
- App内課金で手に入れたコンテンツ、機能、消費アイテムを直接的または間接的に他のユーザーに譲渡できるようにすることはできません。
- Mac App Storeで配信されるアプリケーションでは、App Storeとは別の方法で有効化されるプラグインまたはExtensionを使用することができます。
- ガチャ課金もしくはランダム化された仮想アイテムを提供するメカニズムを提供するアプリケーションは、購入前に各タイプのアイテムの確率を開示しなければならない
とあります。
1〜5はこれまでも明記されていましたが、今回はガチャ課金に関する「6」が追加された形。ハッキリとルール化されましたね。
さて、実はガチャ課金の確率表記に関して日本では、2016年に「日本オンラインゲーム協会(JOGA)」「一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)」「モバイル・コンテンツ・フォーラム」などが
- アイテムを手に入れるまでの推定金額を表示する
- 課金上限額は5万円
- アイテム提供割合の上限と下限を表示する
- 当たりの確率を表示する
のいずれかを守るように、といった規制を設けているんですよね(詳しくはこちら)。
ただしこの規制は協会に加盟している会社に遵守を求めるものであり、さらに加盟しているのに未だに確率を表記していないゲームも存在します。
1〜4のいずれかを遵守すればいいので、あえて確率を表示しないゲームもあるわけですね。
しかし今回Appleが義務化したことで、iOSでアプリをリリースするなら100%表記しなければならなくなります。
果たしてガチャ課金を提供していて、未だに確率を表記していないゲームアプリは今後どうなるのでしょうか?
ソシャゲは今後どうなる?
確率を表記するようになるだけで、他はなにも変わらない…これが1番考えられることでしょうか。しかしそう単純には行かないかもしれません。
先日ご紹介した「課金売上ランキング2017」のトップ10を見てみると、
- モンスターストライク:確率表記なし
- Fate/Grand Order:確率表記あり
- パズル&ドラゴンズ:確率表記なし
- LINE:ディズニー ツムツム:確率表記なし
- ドラゴンボールZ ドッカンバトル:確率表記あり
- アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ:確率表記あり
- グランブルーファンタジー:確率表記あり
- 実況パワフルプロ野球:確率表記あり
- 白猫プロジェクト:確率表記あり
- ポケモンGO:ガチャなし
とトップ5は3タイトルが確率の表記が現在されていません(さらに言うと、2位のFGOと8位の実況パワフルプロ野球、9位の白猫プロジェクトはアイテムごとの確率ではなく、レアリティごとの確率表記)。
※一部誤りがありましたので訂正させていただきました(12/22 12:30)
もちろんゲームが面白いからその分課金されているのだとは思いますが、「確率が表記されていないから射幸心を煽り、その分課金額も大きくなる」という関係性も否定できません。
となると、果たしてすべてのゲームが素直に確率を表記するのか…この点に関してGameCastさんが興味深い考察をしていました。
なんでも中国では政府がガチャ確率表記を義務付けたようで、人気カードゲームアプリ『ハースストーン』がその対策に乗り出したそう。それが、
- 本来ハースストーンのガチャでゲットできるのは「カードパック」だった
- そのガチャを廃止し、一定数で好きなカードを作れる素材の販売を開始した
- この素材を購入すると「おまけ」として無料のカードパックが付いてくる
というもの。
この「おまけのカードパック」が結局はガチャになっているわけですね…。もちろんこれは「おまけ=無料」なので、有料のガチャと異なって確率の表記は必要ない、ということ。
これはかなりグレーな気がしますが、現在確率を表記していないゲームがこの手法を取り入れる可能性もないわけではありません。
個人的には正々堂々確率を表記して欲しいですが、果たして各ソシャゲはどのような対応に出るのか…今後に注目です。