NHKのネットでの常時同時配信を巡ってはその受信料徴収で二転三転していますが、ここに来て具体的な方針が明らかになりました。
受信契約が確認できない場合はメッセージ表示へ
NHKのテレビ放送と同じ時間にインターネットで番組を配信する「常時同時配信」を巡っては、その受信料の負担に関して話題となっていました。
かみあぷでも今までその経緯をお伝えしてきましたが、簡単に整理するとNHKの方針は以下の2点。
- すでにテレビの受信料を支払っている世帯に対しては常時同時放送の負担を求めない
- デバイスを持っていれば見ていても見ていなくてもテレビと同額程度の受信料を徴収する
特に注目されたのは2番目で、「常時同時配信」を閲覧できる環境さえあれば視聴の有無に関わらず受信料を徴収するという点が問題視されました。
そりゃテレビがなくてもネットに繋がるスマホやタブレットなどを持っているだけで、受信料を支払って下さいと言われても納得できない訳で、さすがにこれには総務省からも待ったが掛かる形に。
結果的にこの結論は先送りされる形となったのですが、では具体的にどうしていくのかという点について、9月20日に総務省で開かれた有識者会議「放送をめぐる諸課題に関する検討会」にて配布された、資料にてその内容が明らかになりました。
資料の17ページ「3.常時同時配信開始にあたっての基本的な考え方について」によれば、「常時同時配信」が必要な理由として以下の3つを上げています。
- インターネット・携帯端末の普及によりコンテンツ視聴や情報取得のあり方が多様化している。視聴者・国民の利便性を高めるため、インターネットも適切に活用して、正確な情報や多彩な番組を届けたい。
- 放送を補完する受信契約世帯向けのサービスとして、そのままインターネットでも見ることができるようにする、いわば「視聴機会の拡大」。
- 災害時・緊急時などにも同時配信で、信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を果たしたい。
※ポイントを抜き出して記載しています。
そして具体的なサービス開始時の考え方なのですが、ポイントを抜き出すと、
1つ目は「受信契約世帯の構成員は、追加負担なく利用できるようにする」。これは従来と同様ですね。
そして2つ目「受信契約が確認できない場合は、メッセージ付き画面などの視聴にとどめる」。どうやら、契約がない場合でも見られるようになるようですが、BSで未契約の場合に表示されるメッセージのようなものが出るようになると思われます。
では肝心の料金はどうなるかと言う点は資料の20ページに書かれており、
受信料型は、視聴者・国民の理解を得ること等に時間がかかると予想され、有料対価型や一定の期間は費用負担を求めないといった当面の暫定措置を検討する必要あり。
少なくともサービス開始時に、いきなり当初方針にあった視聴できるデバイスを持っているから受信料を払ってくれというようなことにはならなそうです。
ただ気になるのはあくまでこれを「暫定措置」と位置付けている点。
3つ目のポイントとしてNHKは「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを常時同時配信により伝えることができるよう、2019年度にサービスを開始する。」を掲げており、現時点においてはとにかくオリンピックに間に合わせたいというのが本音のようです。
となると、オリンピックが終わったら暫定措置を解除して何らかの形で対価を求めるということもありえない話ではなさそう。
ただ実際にはNHKの「常時同時配信」には「放送法」の改正も必要であり、そう簡単にいかないのが実情。
サービス開始当初の受信料徴収を捨ててまで、オリンピックに間に合わせたいNHKですがまだまだ結論が出るのは先になりそうですね。