こんにちわ、Hikaru Sanoです。
WWDC2017の少し前に、Appleは今までに累計700億ドル(約7兆7千億円)以上の売り上げをApp Storeで生み出したと発表しました。
他のアプリストア市場から見ても圧倒的な数字なのですが、どうやらこの数字の中には詐欺アプリの収益が含まれているそうなんです。
仕組み上あり得ないアプリ
ジョニー・リンさんはApp Storeの売り上げが累計700億ドルを超えたというニュースを見て、ふと「この売り上げは一体どんなアプリから生まれてるのだろう?」と疑問に思いました。
そしてApp Storeアプリ内にある「Top Grossing(トップセールス)」を見てみると、『Dropbox』や『Evernote』、『Microsoft』と有名なツールアプリが並んでいるのですが、10位に物凄く違和感のあるアプリを見つけます。
そのアプリとは『Mobile protection :Clean & Security VPN』というアプリで、単純に訳すなら「モバイル保護:クリーン&セキュリティ VPN」、アプリ名というよりは検索ワードインデックスを並べただけのように見えますね。
ジョニーさんはこのアプリを見た時に「あぁ、App Storeのアルゴリズム(ランキング機能)がまた変になってるんだ」と思ったのですが、調べてみるとこのアプリは毎月80,000ドル(約882万円)もの売り上げを出していたのです。
不審に思ったジョニーさんはすぐにこのアプリをダウンロード、一体どのようなアプリでどのように収益を上げているのかを確認しようとしました。
起動すると最初に「連絡先へのアクセス権限」を求められ、次にiPhone安全確認画面が表示されるのですが、「Secure Internet – Not safe」と表示されており、まるでインターネット接続に問題があるかのような表示になっています。
しかし「Secure Internet – Not safe」の部分をタップすると解決方法が表示されると思いきや、なぜか他のゲームアプリ広告が全画面表示に。
広告を閉じると「アンチウィルス無料トライアル」ボタンが表示され、まるで「広告収入で運営し無料でiPhoneを安全にしている」ような印象を与えてきます。
そしてジョニーさんが「アンチウィルス無料トライアル」ボタンをタップすると…
無料のはずなのにTouch IDによる同意ポップアップが表示されました。
そこには「無料トライアルのフルバージョンを利用するにはTouch IDを使ってください。毎週99.99ドル(約1万1千円)の支払いが発生します(意訳)」との説明が。
ユーザーは無料トライアルだと思っているわけですし、Touch IDの精度は皆さんご存知の通り。ポップアップの説明を見ないまま契約してしまった方が多かったのでしょう。
毎週約1万1千円、1月で約4万4千円、このアプリはたった200人(月商80,000ドル÷月額400ドル=200人の契約者)程度の売り上げで毎月80,000ドル(約882万円)もの売り上げを作り上げていたワケですね。
現時点でこのアプリは削除されており、また同様の手口(無料ウィルススキャンなど)のアプリが複数ジョニーさんによって発見されています。
そもそも「ウィルススキャン」はiOSの仕組み上、App Storeで公開されているアプリでは絶対に実行する事ができない機能で、これを「できる」と謳っている時点で詐欺アプリです。
iPhoneにもウィルス対策系アプリとして、『ウイルスバスター』や『ノートン』といったPCでも有名なアンチウイルスアプリが多数リリースされていますが、概要を見ると基本的にフィッシングサイト防止とか、危険なWebサイトアクセス時に警告を出すといった機能に止まっており、「ウイルススキャン」を謳っているアプリは1つもありません。
最近iPhoneでもウィルスなどが話題に上がりますが、「ウイルススキャン」を謳うアプリだけは絶対にダウンロードしないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
結局『Mobile protection :Clean & Security VPN』はユーザから集金するだけで特に何も行わない(連絡先情報を盗まれる可能性はある)アプリであり、このアプリそのものがウイルスといっても過言では無いアプリでした。
Appleは今までに700億ドル以上の売り上げをApp Storeで生み出したと発表しましたが、こういった不正アプリでの売り上げも入っていると考えると、素直に褒められるような発表に思えなくなってしまいますね。