こんにちは、yumiです。
これまでも「労働環境が劣悪」「大規模ストライキが発生」などと、たびたび話題になるiPhoneの組立工場。
とある大学生が組立工場に潜入し、Business Insiderのインタビューでその実態を明かしました。
私たちが想像するよりも、かなり劣悪な環境なようですよ…。
6週間、実際に働いて分かった工場の実態
ニューヨーク大学の大学院生であるDejian Zengさんは昨夏、上海にあるPegatronのiPhone組立工場に潜入。実際に6週間働いたそうです。
Appleは以前、Pegatronの工場に16回監査に入り「1週間の労働時間が60時間以下だった週が99%」「従業員の平均労働時間は週43時間」「賃金は過去5年で50%以上上昇」「上海の最低賃金より高い」と述べていましたが…。
DejianさんがBusiness Insiderのインタビューで語った実態を見てみましょう。
Dejianさんの仕事は?
Dejianさんが割り当てられた仕事は「FATP」と呼ばれる最終の組立ライン。スピーカーをケースに入れてネジで止める…この作業を1日中やっていたとのこと。
最初はラインの早さについていくのにやっとでしたが、慣れれば目を瞑ってても出来るくらいになったそうです。
ちなみに作業中、音楽を聴くのはNG。たまに他の人とおしゃべりもしたそうですが、マネージャーに見つかると怒られるのだとか…。
1日のスケジュールは?
Dejianさんが住んでいたのはPegatronの寮。工場から車で約10分の場所にあり、毎日シャトルバスで通勤していたとのこと。
部屋は8人の相部屋だったもののそれぞれ勤務時間が異なっていたそうです。Dejianさんは午後7時30分からの勤務だったため、
- 午後7時:シャトルバスに乗る
- 午後7時15分:工場に着く
- 午後7時30分:作業開始
- 午後9時30分:10分の休憩
- 午後11時40分:50分の休憩
- 午前2時30分:10分の休憩
- 午前4時40分:10分の休憩
- 午前6時30分〜:勤務終了もしくは残業
というのが1日のスケジュールで、50分の休憩は全従業員が1つの食堂に集まって食事の時間。とは言え食事は有料で、5元(約79円)もしくは8元(約127円)から選ぶのだとか。
ちなみに料理の質はあまり良くないけれど、満腹感は得られていたし、他に選択肢がないから仕方なかった…とDejianさんは述べています。
さて、そんな食事を早く食べ終われば仮眠をとることもできるのですが…工場のラウンジにはソファがあるものの、横になって寝ることはできない=座って眠らなければいけないそう。
もし横になって寝ているのが見つかると怒られたり、何度もやってしまうと給料から罰金をとられることもあるんだとか…。
このような決まりは他にもあり、「携帯電話を工場に持ち込む」「ライターなどの金属類を持ち込む」などもダメだったそうですよ。
さて休憩時間をのぞいて8時間働くと勤務終了ですが、ここから約2時間半ほど残業する日もあるそう(残業が発生する場合、労働者に拒否権はなし=強制残業)。
それが終われば自由時間となり、ネットカフェに行ったり、ゲームをしたり、友だちと電話して過ごしていたとのこと。
ちなみに寮にはWi-Fiの環境が整っていたそうですが、Wi-Fiに繋ぐには「バーチャルコイン」が必要で、このバーチャルコインはアプリをダウンロードするなどして獲得するか、購入しなければならなかったのだとか。
Wi-Fi(24時間)で20コイン必要で、アプリを1つダウンロードすれば大体20〜30コインを得られ、購入する場合は5元で100コイン、といった具合。
なんだかカイジを思い出してしまったのは私だけでしょうか…。
1ヶ月の給料は?工場で働いている人はiPhoneを持っているの?
1ヶ月の給料は基本給+残業代で約3,100元(約4万9,000円)。
上海が法律で定めている基本給2,320元に残業代がプラスされていく形だそう。
ごく一部の従業員はiPhoneを持っていたそうですが、ほとんどの人は「2ヶ月分の給料をつぎ込んでまでiPhoneを買う必要がある?」と考えていたとのこと。OPPOなど中国ブランドのスマホを持っている人が多かったそうです。
もちろん働いている人は「自分たちが組み立てているのはiPhoneだ」と分かっており、未発売のiPhoneを組み立てる時には金属探知機による検査が厳しくなるとのこと。写真などを流出させないためだと考えられます。
また残業時間も長くなり、iPhone 7の組立が始まった時は土曜も日曜も休日出勤になったそう。休みなく11日連続で働いている人もいたとのことですよ。
Appleは「1週間の労働時間が60時間以下だった週が99%」と報告していますが、Dejianさんによれば繁忙期は60時間以上働くのがザラだったそうです。
さらに工場労働者には勤務中に着る作業服、帽子、スリッパが各1つずつしか支給されないため、週末にしか洗濯できない=繁忙期は休めない=工場内は悪臭が漂っていたとのこと…。
働いている人は工場での仕事をどう思っている?昇進はある?
このような環境なためか、工場で働く人は2週間〜1ヶ月で退職するのも珍しくないそう。
ほとんどの人はホームレスにならないよう「お金のため」だけに働いており、誇りを持てる仕事とも思っていないとのこと。
とは言え昇進制度もあるそうで、下から順に
- オペレータ
- マルチタスクワーカー
- グループリーダー
- ラインマネージャー
- セクションマネージャー
- 部門マネージャー
- 工場長
となっており、普通の従業員も「ラインマネージャー」に昇進することは可能なのだとか。
まとめ
ということでDejianさんが明かしたPegatronの実態についてご紹介しました。
Dejianさんの暴露によって今後PegatronやAppleが何か対応をするのか、それとも何もしないのか…個人的には、せめて「2週間〜1ヶ月で辞めていくのがザラ」「誇りを持てる仕事ではない」という従業員の考えが変わるくらいの労働環境を整えて欲しいと思いましたが、みなさんはどう思われましたか?