こんばんは、yumiです。
最近ようやく総務省からの要請が一段落し、落ち着いてきたかに見えた大手キャリア3社。しかしここに来て、またも難題が降り掛かりました。
今月14日、中古スマホ業界団体「リユースモバイル・ジャパン(RMJ)」が発足。これにより今までキャリアが行ってきた「iPhone下取り」の価格が、かなり安くなりそうです…。
私たちユーザーにも関わるこの問題、一体どういうことなのか詳しくご紹介します。
中古スマホの業界団体が発足
かみあぷでも何度かお伝えしている通り、日本政府は「スマホが占める家計負担の割合が多い」として、これまでさまざまなガイドラインを策定。現在は「負担を減らしたいならMVNO(格安SIM)へ」という流れにシフトしていますよね。
こういった背景を追い風に、ゲオやブックオフなど中古スマホの流通に関わる企業8社が業界団体「リユースモバイル・ジャパン(RMJ)」を設立しました。
RMJ設立の狙いは「大手キャリア3社との交渉力を高め、中古スマホの流通を促進すること」。一体RMJは大手キャリアに対しなにを交渉したいのかというと、
- 中古スマホのSIMロック解除
- 代金未払いのスマホに対する「ネットワーク利用制限」の解除
- iPhoneを始めとしたスマホの下取り価格の引き下げ
の3点だそう。私たちユーザーにとって、メリットもあればデメリットもあるようで…1つずつご紹介しますね。
1. 中古スマホのSIMロック解除
キャリアで購入したiPhoneは、みなさんご存知の通りSIMロックが掛かっています。
RMJはこのSIMロックを「所有者が端末代金の支払いを完済していれば、買い取る中古業者が解除できるようにすべき」と主張。
確かに中古iPhoneを購入しようとした時にいくらそのiPhoneの状態が良くて気に入っても、SIMロックがかかっていた場合、自分が使っているキャリア(もしくはMVNO)と同一でなければ使えません。
さらにiPhoneを売る立場でも、いちいちSIMロックの解除をしなければいけないのは手間。
そういった背景から、RMJはSIMロックが中古スマホの促進を阻害している原因の1つと見ている…というわけですね。
ちなみにiPhone 6s/6s Plusからは発売から半年後にSIMロックの解除が出来るようになりましたが、それ以前のiPhoneについては恒久的に不可。
最近になって総務省は、SIMロックを解除できる期間を半年以下に短縮させるガイドラインは策定しましたが、6s以前のiPhoneには言及していません。
しかし今後RMJの交渉次第では、機種を問わずSIMロック解除が容易にできるようになるかも。これは私たちユーザーにとって「メリット」と言えそうですね。
2. 代金未払いのスマホに対する「ネットワーク利用制限」の解除
ネットワーク利用制限とは、
- 不正な契約が発覚した
- 盗難の届け出がある
- 所有者が端末代金を支払っていない
という端末に、キャリアが通話や通信ができないような制限をかけること(この状態の端末は「赤ロム」と呼ばれています)。
1や2に関しては中古業者に持ち込まれる時点で赤ロムの判断がつくことが多いですが、3の「端末代の未払い」は、所有者が割賦の支払いをしなくなった時点で制限がかかるため、最悪の場合「新しいユーザーが購入したあとに使えなくなる」可能性があります。
RMJはこの問題に対し「1や2の場合は、そういった端末が中古市場に流通した時点でキャリアや警察に報告する」と積極的に協力する姿勢を示していますが、3に対しては「端末代が完済されていない端末には必ずしも利用制限をかけるべきではない」「端末代の残債は端末に紐付けるのではなく、代金を支払わなかった所有者に紐付けるべき」と主張。
端末代を支払っていない所有者の身元についてキャリアはハッキリと分かっているけど、裁判を起こす手間を惜しむ→端末への利用制限が手っ取り早い…ということなのでしょうが、これはぜひキャリアに善処していただきたいですね。
中古iPhoneを買う時に「もし赤ロムだったらどうしよう(;´Д`)」と怖がる必要もなくなりますし…!
3. iPhoneを始めとしたスマホの下取り価格の引き下げ
さてここまで見てきたところ、RMJの思惑はユーザーへのメリットばかりでしたが、最後はデメリットと言えそうです。
RMJは「キャリアによるスマホの下取り価格」が国内での中古スマホの流通が阻害されている…と見ているんだとか。
一体どういうことかというと、上述した通りRMJはゲオやブックオフなどの中古スマホの流通に関わる企業8社が参加する団体なのですが、これら加盟企業による「中古スマホ買取価格」と「キャリアによるスマホの下取り価格」に大きな差があるんだとか。
例えばiPhone 5sの場合、
- RMJに加盟する企業の買取価格平均:6,361円
- 大手キャリア3社の下取り価格:1万5,000円〜1万6,800円
と1万円近い差が。さらにiPhone 6の場合は
- RMJに加盟する企業の買取価格平均:1万2,141円
- 大手キャリア3社の下取り価格:2万1,600円〜2万6,400円
とこちらも1万円ほどの差。
これだとユーザーとしては出来るだけ高く売りたいですし、キャリアで下取りしてもらったほうがいい…となっちゃいますよね。
RMJはこの点も「流通の阻害となっている」とし、キャリアに対して下取り価格の引き下げを求めていくそうです。
もし引き下げとなるとユーザーにとっては大きな痛手となりそうですが…実はこの下取り価格、RMJ以外にも言及している団体がいるんです。
…それは総務省。
以前ご紹介したのですが、総務省は「端末購入者に求める合理的な額の負担の明確化」というガイドラインを策定。「ユーザーが新機種を購入する際に負担する金額は、2年前の同型機種の下取り価格以上」と決められました。
なので例えば今年の9月に新iPhoneが発売された場合、そのiPhoneの価格は2年前の同型機種であるiPhone 6s/6s Plusの下取り価格以上としなければなりません。
6s/6s Plusの下取り価格が3万円だった場合、新iPhoneを購入する際のユーザー負担は3万円以上となります。しかし下取り価格を引き下げ、1万円とすればユーザー負担も1万円に。
となるとRMJが求めなくとも、キャリアは下取り価格の引き下げに動くかもしれませんね…。
今後iPhoneを手放す際は買取業者とキャリアの下取り、どちらが高いかの見極めが必要ですが、RMJは今年4月から毎月「iPhoneを含めたスマホの平均買い取り価格」を開示するとのことなので、こちらが一つの目安となりそうです。
まとめ
長々とRMJとキャリアについてご紹介しましたが、まとめると
- SIMロックの解除が可能になる端末が増えるかも。SIMロック解除も簡単になるかも
- 端末未払いのiPhoneも、利用制限がかかることなく安心して使えるようになるかも
- iPhoneの下取り価格が安くなってしまうかも。どこが一番高く買い取ってくれるのか、見極めが重要に
ということ。
ユーザーにとって良いことばかりではありませんが、業界団体の設立により「中古市場の健全化・透明化」という点においては歓迎したいですね!