こんにちわ、Hikaru Sanoです。
最近は個人による集団訴訟も多いApple、特に交通事故や元社員達による訴訟が目立っていますね。
今回もまた集団訴訟されたのですが、正直訴訟内容に首を傾げたくなってしまう内容なんです。
パテント・トロールのVirnetX
今回の集団訴訟は、Appleがカリフォルニアの不正競争防止法に違反していると訴えられています。
不正競争防止法とはザックリ言うと「市場競争において不正な行為を禁止」する法律で、例えば競合他社の悪質な噂を流すとか、商品を真似て販売するとか、虚偽の表記をするといった行為を禁止する法律です。
もしAppleが上記のような行為を行っているのであれば、企業倫理的に大きな問題になりかねませんね。
原告の訴えは「Appleは意図的にFaceTimeをiOS 6以前で利用できなくし、iOS 7以降へのアップグレードを強要している」というもの。
事実AppleはiOS 6以前のFaceTimeのデジタル証明書を更新せず、後述の理由からiOS 7以降のOSでないとFaceTimeが利用できないようにしました。
原告は「iPhone 4/4SにiOS 7を入れたら使い物にならない(意訳)」とし、「FaceTimeをiOS 6以前で利用できなくしiOS 7以降へのアップグレードを強要」する事に問題があるとしています。
さてAppleが「iOS 7以降のOSでないとFaceTimeが利用できないようにした」理由なのですが、以前からAppleに訴訟を度々しかけているVirnetXという企業が原因。
VirnetXはいわゆるパテント・トロール、自社の収益のほぼ全てが特許使用料と裁判で得た賠償金で成立している企業で、取得した特許を自社で商品化などはしていません。
IT業界でもかなり悪名高い企業で、Appleの他にもMicrosoftなどから巨額の賠償金を獲得したりしています(詳しくは「VirnetX 訴訟」で検索)。
この企業にFaceTimeが特許を侵害していると訴えられ、3億6,800万ドル(およそ414億円)という巨額の賠償金、以後使用料として月額830万ドル(およそ9億円)を支払いさせ続けられ、他の特許についてもどんどん訴訟を起こされている状態です。
そこでAppleはiOS 6で特許を侵害したとされる機能を排除、自社で独自の技術を盛り込みiOS 7版のFaceTimeを作り上げました。
そしてVirnetXへ支払っている月額利用料を発生させないために、iOS 6以前のFaceTimeのデジタル証明書を更新しなかったワケですね。
今回の集団訴訟では「Appleは意図的にFaceTimeをiOS 6以前で利用できなくしている」という訴えは間違いないのですが、「iOS 7以降へのアップグレードを強要」はほぼされていないと言えます。
また競合他社への悪質な不法行為を行っているワケでもありませんし、「OSをアップグレードしないと旧機能がいずれ使えなくなる」のはITでは大昔からの常識です。
今回の訴えはほぼ、言いがかりのレベルと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
2010〜2011年に発売されたiPhone 4/4Sを今もiOS 6の状態で使っていること自体に(セキュリティ的な)驚きを隠せないのですが、本当に彼らは使っているんでしょうか?
ちなみに筆者は開発用にiPhone 4のiOS 7.1.2、iPhone 4SのiOS 9.2.1を持っているんですが、別に「使い物にならない」ほど動きが遅いとかって事はないんですが、彼らの本当の目的は何なんでしょうね?