こんばんは、菊太郎です。
WWDC 2016では新しいiOSやWatchOSが取り上げられていましたが、「ディファレンシャル・プライバシー」という新技術も発表されました。
これは、ユーザーのプライバシーを保護してくれるありがたい機能ですが、一部の専門家からは疑問の声が上がっているとのこと…。
一体この新機能にはどんな問題点があるのでしょうか?詳しく見ていきましょう!
iOS 10では多数の個人情報を使うので…
先日のWWDC 2016で発表されたiOS 10。
Quick Typeキーボードの強化や、『写真』アプリの画像認識機能搭載など、魅力的な機能が多数登場しました。
iPhoneの操作が非常に便利になる一方、これらの機能はAppleの人工知能をフル活用しなければならないため、ユーザーの個人情報を収集して解析する必要がどうしても出来てきます。
そうなってくると、個人情報が大丈夫なのかちょっと不安になってしまいますよね。
そこで、Appleが個人情報保護のために導入するのが、「ディファレンシャル・プライバシー」とよばれる新技術。
これは、ユーザーから収集したデータから個人を特定しにくくするもので、この技術を使えば個人のプライバシーを守りつつも、iPhone強化に必要なデータのみを収集することが出来るというものです。
つまり、「誰かがiPhoneでアダルトサイトを見た」というデータはAppleに収集されるけれど、「菊太郎がiPhoneでアダルトサイトを見た」という個人を特定するデータは収集されないと言うこと。
この技術を使えば、プライバシーの心配をすること無く、自分の使いたいようにiPhoneを使い続けることが出来ます。
そんな画期的な技術ですが、ジョンホプキンス大学の暗号学教授マシュー・グリーン博士は、「この技術は非常に大きな危険性をはらんでいる」と、警鐘を鳴らしているそうです。
それには、大きく分けて3つの理由があるそうなので、1つずつ見ていきましょう。
問題点1「十分な実験が行われていない」
マシュー博士によると「このディファレンシャル・プライバシーには、十分な実験が行われていない」とのこと。
新技術を導入する場合、試行錯誤を繰り返して問題点がないか入念に準備をするそうですが、「ディファレンシャル・プライバシー」は十分な実験が行われることなく導入される可能性があるそうです。
そのため、致命的な不具合によって個人情報が一気に流出してしまうなど、場合によっては取り返しが付かない状況になることも考えられます。
これに対しマシュー博士は、「Appleはこの技術をいきなり実行に移し、間のステップを飛ばそうとしている」と批判したそうです。
問題点2「個人情報が1つに集められてしまう」
続いて2つ目の問題点は、個人情報がユーザーの手を離れてAppleのもとに行ってしまう点。
今までAppleはプライバシー保護の観点から、すべての個人情報を持ち主のiPhoneに保存していました。
しかし、データを解析しなければならないので、個人情報はAppleのサーバー1カ所に収集させられてしまう恐れがあります。
ユーザーの目に付かない所に個人情報が行ってしまうので、今までに比べると不安が残る事になってしまうかも知れません。
問題点3「情報を何に使うのかが分からない」
最後の問題点は、Appleが収集したデータを何に使うのか明確に公表していない点。
どんな目的で、どのような事に対して、個人情報を使うのかが明確になっていないので、ユーザーの意に反する使われ方をしてしまう可能性があります。
また、収集の基準を決めるのもすべてAppleなので偏ったデータ解析になってしまい、ユーザーが求めているようなiOSの改良にならない恐れも。
ゆくゆくはAppleも詳細を発表するかも知れませんが、現時点ではまだまだ不安が残る技術と言わざるを得ないようです。
以上、マシュー博士が指摘する「ディファレンシャル・プライバシー」の問題点に関して見てきました。
今後Appleがどのような対応を取るのかは分かりませんが、安全にプライバシーを扱ってくれるのかが気になる所。
ユーザーのプライバシーを巡りFBIとバトルを繰り広げてきたAppleだからこそ、これからもプライバシー重視の方向は維持していって欲しいですね。