こんばんは、菊太郎です。
ネットはちゃんとルールを守って使えば便利なツールですが、その一方で誹謗中傷や犯罪予告が行われるなどの問題点も抱えていますよね。
それに対する対策として随分前から言われているのが「ネットの実名制」ですが、果たして実名を義務化すればこれらの問題が解決出来るようになるのでしょうか?
そこで今回は、日本ではどれくらい実名制に関する議論が行われているのか、そもそも実際に実名制にしたら効果はあるのかについて見ていきます!
実名制 VS 匿名制
今現在、日本でインターネットを使うときは基本的に全て匿名で行う事が出来ますが、匿名なのを利用した誹謗中傷や犯罪予告は後を絶たず、各地で問題になっています。
その対策として「ネットの実名制」が以前から叫ばれており、特に2ちゃんねる(匿名掲示板)全盛期には、専門家からも「実名制を実施すればネット上で責任を持った行動をとるようになり、これらの問題は解決される」という声が頻繁に上がっていました。
この実名制に関する議論は比較的分かりやすいテーマだった事もあり、「太田総理」や「TVタックル」などの討論番組で取り上げられることもしばしば。専門家のみならず、芸能人も真剣に議論する姿も見られました。
ただし匿名掲示板による被害はある種の社会問題にはなったものの、国家を揺るがすほどの大問題には発展しなかったこともあり、日本行われた議論は極めて限定的。そのため、あまり大きな声が上がることもなく今日を迎えています。
一方で、金大中大統領が積極的なIT政策を掲げ、急激なスピードでインターネットが普及した韓国では電子掲示板における誹謗中傷が問題化。韓国で人気の歌手ユニが整形疑惑に関する誹謗中傷をネチズン(韓国のネットユーザー)から受け、それを苦に自宅マンションで首つり自殺するという痛ましい事件も起きました。
事態を重く見た韓国政府は、ネットを利用する際には住民登録番号の開示を義務化し、実質的なネット実名制を実施することになります。
これで韓国のネット社会に平和が訪れた。…かのように思われましたが、
「政府の批判や、企業の内部告発ができなくなり、表現の自由が奪われる可能性がある」と、ニューヨークタイムズをはじめとする海外メディアはこぞって批判。
しかも韓国憲法裁判所がこの政策に違憲判決を下したため、2015年には住民登録番号登録制が廃止されることに…。
そんな韓国の状況を受け、日本において実名制に関する議論は下火になり、話題に上がることもほとんど無くなってしまいました。
さて、実名制を巡る現状を見てきましたが、ここで気になるのが「ネット実名制にどれくらいの効果があるのか」と言うこと。
もし効果が絶大ならば我が国でも導入して欲しいところですが、実際の効果はどうなっているのでしょうか…?
コチラの記事で海外でネットを実名制にした国の事が取り上げられていますが、これによると「実名制にしてすぐは効果があったけど、時間が経つにつれてどんどん効果が薄れていき、最終的には導入前とそんなに変わらなくなった」とのこと。
しかも、サイバー犯罪に関しては実施前よりも増加してしまったという衝撃的な結果になっています。
残念ながら、実施しても効果は極めて限定的で、あまり大した効果は見込めない様子…。
実名が当たり前になるとしだいに慣れて来ちゃって、匿名だったころと変わらなくなってしまうのかも知れませんね。
今回はネットの実名制に関して見てきましたが、実名制は表現の自由を奪う可能性がある上にその効果も微妙だったので、我が国では今後も実施されそうにありません。
ネットに関する問題を対処するには、ひとりひとりがネットマナーを守るしかないので、それぞれの意識を高めていくことが必要になりそうです。
誹謗中傷のない、快適なネット生活を送れるようになりたいですね!