ごきげんよう、菊太郎です。
普段何気なく使っているiPhoneですが、その中に「メディカルID」という機能があるのはご存じでしょうか?
「メディカルID」は、意識不明で救急車に乗るときなど、救急隊員に自分の病気や連絡先を伝えられる便利な機能。
しかし、あらかじめ設定しなければいけない上に機能が地味なので、今まで手つかずだった人も多いのでは?今回は、そんな「メディカルID」について解説します!
メディカルIDって何?
メディカルIDとは、iOS 8から導入されたヘルスケア機能の一つ。
以下の画像のように、氏名はもちろんアレルギーの有無や血液型、臓器提供の意思表示などを記しておくことができます。
例えば自分がもし意識不明になったときに、医療関係者はiPhoneから「治療に必要な個人情報」を確認し、処置に役立てることができる…というわけ。
そのため、iPhoneのロックを解除しなくても「メディカルID」を確認することが可能となっています。
ロック画面の「緊急」→「メディカルID」を選択すると…
このように、健康に関する個人情報が表示されました。緊急連絡先(電話番号)が出てくるので、もしもの時はすぐに連絡が取れますね。
このように、メディカルIDは非常に便利な機能なのですが、問題点が1つ…。
それはiPhoneを置いてトイレへ…なんてちょっとした隙に、身近な人にも健康情報を覗かれてしまう可能性があること><
なので、他人に知られなくない病気の情報(麻薬依存症、性病など)がある場合は無記入にしておく…というのも良いかもしれません。あくまでも自分の大丈夫な範囲で設定してくださいね。
では続いて、実際に「メディカルID」を設定してみましょう!
「メディカルID」を設定
「メディカルID」を設定するには、まず『ヘルスケア』を起動→右下の『メディカルID』へ。
右上の「編集」をタップすると編集画面になるので、個人情報を書き込んでいきます。その際、ロック中に表示をONにするのをお忘れ無く。
「メディカルID」に記録できる項目は以下の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 病気/けがについて
- 医療メモ(病院の名前、救急隊への連絡事項など)
- アレルギーと反応
- 使用中の薬
- 緊急連絡先(配偶者等の名前/電話番号)
- 血液型
- 臓器提供
- 体重
- 身長
もちろん、書きたくないところや分からないところは空欄でもOKですよ。
と、ここまで「メディカルID」の有用性や設定方法をご紹介してきましたが、実際のところ医療現場では本当に使われているのでしょうか?
現役医師にたずねてみましたよ!
実際に、医療機関に聞いてみた
メディカルIDが医療現場でどのように使われているのかを、かみあぷ編集部が某医療機関に電話でお伺いしました。
答えて頂いた先生によると…「メディカルIDの存在自体は知っているが使ったことはなく、今後も使う予定はない」とのこと∑(゚Д゚)
その理由は、医療機関の治療は学会のガイドラインに沿って決められているため、ガイドライン外の手順は行いにくいこと、そしてメディカルIDは厚生労働省公認ではないので、「医師が発行した診断書」のように扱えないから…なんだそう。
メディカルIDは医師が記入しているわけではなく、医学の知識がない個人が自由に書いているもの。
そのため病名や薬が間違っている可能性もあり、もしその情報を信用して医師が誤った処置を行ったとしたら…医師の責任問題となってしまうこともあるかもしれません。
そういった点から、厚生労働省にメディカルIDが正式に認められない限り、今後も実際に使われることは難しい…とのことでした。(※)
どうやら「活用していない」というよりも、「活用するのが難しい」状態なんですね…。
メディカルIDに「血液型はA型」と書いてあっても、実際に血液型を検査しなければ輸血は行えないので、あくまで「参考の一部」にしかならないようです。
緊急連絡先や本名の確認には使えそうですが、「メディカルID」を完全に生かせるようになるのは、もうすこし先の話になりそうですね…。
というわけで、『メディカルID』について解説していきました。医療機関で使えるようになるにはまだ先となりそうですが、もしかしたらいざというときに役立つかも…気になる方はぜひメディカルIDを活用してみてくださいね!
※今回お話を伺ったのは一例であり、診療科や病院によって方針が違うため、メディカルIDの取り扱い等が異なる場合がございますのでご了承下さい。