ごきげんよう、菊太郎です。
先月フランスで起きた同時多発テロ。多くの人が犠牲になり、世界中に衝撃を与えたのは記憶に新しいですよね。
そんなテロ行為を目の当たりにした仏政府は、匿名で通信が行えるTorの規制法案の検討をはじめました。この法案が可決されれば、ユーザーが匿名で通信を行う事が難しくなるかもしれないそう…Σ(゚Д゚)
そこで今回は、Torとは一体なんなのか、どうして規制される事になったのかを分かりやすく解説していきます!
たまねぎルーター禁止令が出されるか?
仏メディア「La Monde」は、仏政府が非常時に「Tor」を禁止する法制度を準備していることを伝えました。
先月発生したパリとサン=ドニの同時多発テロを受け、テロ対策の一環として行われるそうです。
しかしこのTorを禁止すると、ユーザーのプライバシーや自由を奪ってしまうことにもなりかねないとのこと。
Torを禁止するとプライバシーを奪われる…一体どういうことなのでしょうか?そもそもTorとはなんなのでしょうか?
犯罪に利用しやすい匿名通信システム
Tor(The Onion Router / たまねぎルーターの意)とは、簡単に言ってしまえば「匿名通信システム」のこと。
普通にインターネットに接続したりメールを送信したりすると、個人が特定できる情報(IPアドレス)を相手に知られてしまいますが、このシステムを使えば匿名で行う事が可能。
そのため、いたずら防止やハッキング予防の他、告発サイト「WikiLeaks」などでも使われています。
個人のプライバシーを守れるので良いことばかりの様に見えますが、匿名で使えるということは犯罪にも応用できるということ。
現に「遠隔操作ウイルス事件」や「警視庁国際テロ捜査情報流出事件」など、日本国内でも犯罪に使われた事例がいくつも存在しています。
そのためテロ行為に神経をとがらせていた仏政府の目に止まり、今回規制が検討される事態にまで発展してしまいました。
ただし先月起きたテロの首謀とされているISはこのTorを使っておらず、一部の専門家からは「テロ対策は単なる口実に過ぎず、これから匿名性の高いシステムがどんどん規制されていくのではないか?」と今回のTor規制に関して疑問の声も。
現にフランスをはじめ各国政府は匿名性の高いデバイスやアプリを規制する方向に動いており、自由の国と言われる米国でさえAppleにiPhoneの暗号化解除を要求しています。
そんなTorですが、「一部の専門家が使う高度なシステムなのだろう…」と思いきや、実はTorを使った匿名ブラウザがiPhone用にリリース済み。
普通にApp Storeから無料でインストールできるので、誰でも簡単に匿名性の高い通信が行えちゃうんです。ここまで気軽に使えるとなると、政府としても本腰を入れざるを得ないのかもしれませんね。
この法案がフランスで可決されれば諸外国にも波及する可能性も考えられるので、各国のネットユーザーはフランスの状況をハラハラしながら伺っているようです。
テロ対策も大切ですが、個々のプライバシーも同様に大切。今後、日本でどういった流れになるのか、ぼくたちも注意深く見守っていきたいですね…!